 ホームの一番端に置いてある青いベンチ
サンパウロ市地下鉄のプラットホームに突如現れた青いベンチ。外観といい、サイズといい、他の椅子とはどこか違った雰囲気を醸し出している。駅によっては何もないところにぽつんと配置されていて不自然ですらある。試しに座ってみたがなんてこのないプラスティック製の椅子だ。まだ新品だからピカピカだし、すべすべしていて座り心地も悪くない。ただ、やはり気になるのはその中途半端な大きさである。一人で座ると左右にかなりのスペースが余り、落ち着かない。かといって二人で座ったらぎゅうぎゅうになるのである。カップルが体を寄せながら座っているのをよく見かけるのだが、まさか政府がわざわざ若者がいちゃいちゃするための専用席など設けまい。 それなら一体何が目的でこのベンチを設置したのだろうか? 謎の真相を掴むべくいくつかの駅を歩いてみた。すると、親切にも壁に答えが書いてあった。この椅子は肥満の人のための優先席だったのだ。よく読むと、「ボディマス指数40以上」と記されている。40といえば肥満度最高値である4度。どうりでサイズがこれだけ大きいのだ。世界の航空業界が肥満の乗客に対し、2人分の料金を徴収するかどうかが議論となっている中、ブラジルのサンパウロ州では法律を定めて肥満者を厚遇しているのだった。それがいいか悪いかは別としてどんな人にでも寛容なところがやはりブラジルの特徴である。 けれども、果たしてアスリートでもない一般人が自分のボディマス指数を把握しているのだろうか。ボディマス指数は体重と身長を基に算出するため見た目では判断が付きづらい。「ボディマス指数40以上」と言われても普通の人にはなんことか分からないはずである。また、よかれと思って太った女性に席を譲ろうとしたら、本人は自分を肥満だと思っておらず、彼女を深く傷つけてしまう、なんてことはないだろうか。高齢者や妊婦に席を譲るのは簡単でも肥満の人に席を譲るのはそれなりに勇気がいりそうだ。
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| 普通の椅子と比べるとかなり大きめ |
肥満者優先席、ボディマス指数40以上 |
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