ブラジル豆知識
スーパーで買える日本のもの

スーパーで買える“日本のもの”

 たくさんの日系人が住むサンパウロではわざわざ日本の食材店に行かなくても一般のスーパーマーケットで“日本のもの”が買えるほど便利になった。中でもどこにいっても間違いなくあるのがインスタント・ラーメンだ。カップ、袋入りと両方あり、どちらも手ごろな値段で売られている。ラーメン文化のないブラジルで、ブラジル人がこれらを日常的に食べるというだけでも驚きである。とはいえ日本人と違ってブラジル人の中には、わざわざお湯を全部捨て、麺をお皿の上にのせてから食べる人たちが結構いる。まだまだ多くのブラジル人にはラーメンもスパゲティーと同種だと思われているようだ。日本のラーメン屋のオヤジが聞いたら怒鳴り出しそうな状況である。

  ブラジルのインスタント・ラーメンを巡ってはほかにも面白エピソードがある。そのひとつは、この国ではどこのメーカーのものであろうと即席麺は全て「miojo(ミョージョー)」と呼ばれていることである。これは日清がブラジル進出を果たした際、先手を打つために競争相手の明星の名前を商標登録し、miojoという商品名でインスタント・ラーメンを売り出したため、この名前が定着したというのがもっぱらの噂である。日清ブラジルのホームページにもmiojoというブランド名で売り出したと書いてある。ライバルの行く手を阻もうと相手の会社名をブラジルで登録した日清がその後、明星を買収し、子会社化したのも何かの縁であろう。唯一皮肉なのはブラジルではNISSINの名前は一向に売れず、miojoの名前だけが一人歩きしたことだ。「ミョージョー」と聞いて知らない人はほとんどいないが、「ニッシン」にピンとこない人はいまだに少なくない。個人的にはミョージョーより、ラーメンという言葉が流行ってラーメン屋がそこら中にできてくれれば、これに超したことはないと思っている。しかしそれにはまずラーメンとスパゲティーの違いを一からブラジル人に説明する必要がありそうでなかなか骨折りだ。「いいか、ラーメンというのはなぁ、料理人の長年の汗と涙が蓄積されて初めて完成する神聖な食べ物で、日本ではわざわざ行列を作ってまで食べる人がいるほどリスペクトされている奥の深い料理なんだぞ」などといってもおそらく通じないだろう。