ブラジル豆知識
近未来の乗り物

セグウェイでパトロールする銀行の警備員

 ある日、街を歩いていると、突然おかしな乗り物に乗った黒服の男と遭遇した。ガタガタの歩道をまるで水上を進むモーターボートのようにスイスイ進んでいくその男は、宇宙人のような神秘的な雰囲気を醸しながらもどこか異様で間抜けな側面をさらけ出している。見た瞬間思わず笑ってしまいそうになるのは、その乗り物がまだ見慣れない類の機械だからであるのと、ブラジルにはあまりにも不釣合いだからに他ならない。なにかと思えば男は、数年前にアメリカを始め日本でも話題になったセグウェイに乗っているのだった。

  なんでもアメリカでは警察官や警備員がパトロール時に使用しているらしく、それを真似てここサンパウロでも銀行が警備員用に導入したようである。導入したのはいいが、それによってガソリンも使わなければ、体重移動だけでスピードを決める近未来立ち乗り二輪車の数十メートル先ではエアコンも、パワーステアリングも付いていないボロボロの自動車が走っているという時代的ズレが生じている。だからこそなんだかとっても場違いなのである。

 しかしよく考えてみると、ブラジルでは多くの人々がいまだに実際に川で洗濯し、電気も通らないような原始的な生活を送っている一方で、また他の多くの人々は携帯、アイポッド、コンピューター抜きでは生きていけないというようなテクノロジー大好き人間なのである。ふと、気付いたときには街行く人みんながセグウェイに乗っていたなんてことも、この先起こらないとは決して言えない。