ブラジル豆知識
ボリビア人が悩むとき

 毎週日曜日地下鉄アルメニア駅近郊の広場にどこからともなくボリビア人が大勢集ってくるという情報を入手し、さっそく行ってみた。駅前の殺風景な道を10分ほど歩くと、なにやらスペイン語のラジオの音が聴こえてくる。さらに進むと、油っぽい料理の臭いが鼻を刺し、ポールに掲揚されたボリビアの国旗が目に入る。広場を囲うように出店が並び、中央のミニサッカーコートでは男たちがサッカーに興じていた。サッカーをしている男たちも出店の店員も周囲を歩く人たちも、ほとんどがボリビア人である。確かにその空間には他の地区とは違うアンデスの小世界が存在していた。

広場にはボリビアとブラジルの国旗が 食材を売る店


 出店を見て回ると、面白いものが次々と目に飛び込んでくる。食材、料理、デザートなどを出す屋台までは普通だが、宝くじを売る店、鍋を売る店、国際テレフォンカードを売る店ぐらいから徐々に「もうなんでも売ってしまえ」という企みが見え隠れするし、路上散髪屋に至っては「切っちゃえ、切っちゃえ、売るものがないなら、切っちゃえばいいよ」という開き直りの商売根性が覗けなくもない。


 面白いものもあればまた懐かしいものあった。日本だけかと思っていたカキ氷が売られているのには正直驚いた。また、それ以上に注意を引いたのは写真屋だ。以前に撮ったあまたの写真を現像し、それらを張り出して一枚いくらかで売っているのである。日本の小学校でも運動会や遠足の後に廊下に写真が展示されていたのを思い出して胸が熱くなった。休み時間になると生徒たちは一斉に廊下に出動し、自分の写真を一生懸命探して回った。他人が無造作に撮った写真だと中央にどかんと自分が写っているのは稀なほうで、ほとんどが隅のほうにしょんぼりと写っていたり、そうでもなければ嫌いな人が一緒にフレームに入っていたりするため、買うかどうかはそのときの心理、精神状態がものを言う苦渋の選択である。それと全く同じように、やはりボリビア人も世の中にこれほど大変な決断はない、といわんばかりのむずかしい顔をして写真を選んでいるのがなんだかとても可笑しかった。デジカメが氾濫するこのご時世に写真のバラ売り商売が成り立つのは、ボリビア人にカメラを所有して自分の写真を撮るという習慣があまり根付いていないからなのだろうか? それとも写真を自分で撮るのなんてしゃらくせえ、と思っているのだろうか? あるいは単純に経済的な理由ということも考えられる。いずれにしろ数ある出店の中で一番客が多いのがこの写真屋ということにカルチャーショックを受けずにはいられない。

道には他にも様々な出店が出ている
特に写真屋は大人気だ