ブラジル豆知識
パラパラの逆襲

パラパラを踊る若者たち

 サンパウロ市をぶらぶらしていると、懐かしい日本のものにふと再会することがある。これまでにもあるときは「必勝」鉢巻を巻いた精悍な顔つきの少年とすれ違い、あるときは学ランを着ている怪しげな学生?と出くわし、またあるときは背中に刀(多分オモチャの)を下げた男を見かけたことがある。おそらく彼らは日本文化に傾倒している種類の人たちであると思われ、そういう人たちは結構ふと見ただけでそれと分かる露骨な格好と雰囲気を備えている。

  そしてついこの前も懐かしい光景に遭遇した。3人の若者が文化センターの窓ガラスを鏡代わりにしてなにやら運動をしている。3人共動きがぴったりなところを見ると、それが踊りであることが分かる。耳を澄ますと、ラップトップコンピューターから聞き覚えのある音楽が流れてくる。その音楽といい、踊り方といい、紛れもなくあのパラパラなのであった。

 パラパラといえば1980年代後半から90年代にかけて一世を風びした日本発祥のダンスである。しかし時代も21世紀に突入すると、ブームは去り、最近ではあまり話題に出なくなったようである。そんな日本で消えかけた火をブラジルで再熱させようとしている若者たちがいた、ということに日伯の強い縁を感じずにはいられない。日本では「古臭い」といって敬遠されるものも、ブラジルでは新しく、個性的で、かっこいいものとして受け入れられていく。一度捨てられた文化が場所を変えてリサイクルされていく過程には哀愁があり、おそらくブラジル人が日本でカポエラを踊る人を見ても同じように不思議な感動を覚えるはずである。

 インターネットで調べてみると、文化センターで見かけた3人組のほかにもパラパラを踊っているブラジル人が結構いることが判明した。 www.parapara.com.br なんていう、ポルトガル語のパラパラ紹介サイトまである。さらにサンパウロ、リオ、ブラジリア、クリチーバ、サルバドールにパラパラのチームがあり、大会まで開催されているそうである。今もし日本のパラパラグループがブラジルの主要都市でツアーをやったら大成功するかもしれない。そして日本政府や地方自治体から支援を受けているお堅い団体が日本語を始めとする日本文化の普及に手を焼く一方で、パラパラはそのビートのごとく軽いノリでブラジル社会に浸透していくのかもしれない。そうなったらそうなったでしてやったり、なのである。