ブラジル豆知識
中華

 サンパウロ市ではリベルダージ地区を中心に中華料理屋が急増している。最近では昼食時に中華料理屋でお持ち帰りでヤキソバや春巻を注文していくブラジル人をよく見かけるようになったし、夕食を家族で食べにきている人たちも少しずつ増えてきた。なにより安い値段で誰もが気軽に食事できるのが中華の特徴であり、低賃金の労働者を含む多くの市民のレパートリーを増やしたという点では、中流階級から上流階級をターゲットにしている日本食よりはるかに社会的貢献度が高いといえるだろう。そのうえほとんどの中華料理屋ではブラジル人ではなく中国系の人たちが包丁を握っているため味のブラジル化があまり進んでおらず、当たり外れが少ないのがいい。

  しかしまだまだ客の大部分は中国人が占めており、レストラン内ではブラジル人がマイノリティーになる、というシュールな状況ができている。各テーブルでは中国語が飛び交い、異文化の雰囲気に圧倒されてか少しオドオドしているブラジル人もいてここが誰の国なのか分からなくなってしまう。ポルトガル語がほとんど通じないレストランもあり、それでいてウェイトレスは至って強気だったりするから勝手の分からないブラジル人が縮こまってしまうのも無理はない。まるで大使館が外交特権を有するように、レストラン内も中国の習慣がまかり通っているような有り様である。とはいえお世辞にもセンスがいいとは言い難い内装や雑なサービスも受け取り方、考え方によってはパフォーマンスとなり、魅力的に映ることもある。はるか遠くのアジア諸国まで足を運ぶことができないブラジル人にとってはレストランに行くこと自体が海外旅行なのである。美味しくて安くて異文化体験ができるとなれば好奇心の強いブラジル人に受けるのは当然の成り行きであり、中華の快進撃はこのまましばらく続いていくに違いない。

リベルダージ地区に並ぶ中華料理屋