鍵の数はこれぐらい
 サンパウロの住宅、特に一軒家に住んでいると戸締りに一苦労する。アパートのように大勢の人々が一つのビル内に住んでいるところには必ずといっていいほど門番がいて門の開け閉めをやってくれるのでさほどの問題はないが、一軒家となると全部自分で管理しなければならないのが億劫だ。「たかが門を開けるだけだろ」と思われるかもしれないので説明を加えると、サンパウロのアパートや一軒家には正門、正門2、中門、中門2、家のドアなどなど、日本に比べたら驚くほど門扉が多い。泥棒がどこから入って来てもいいように建物のいたるところに鍵がかかっているのだ。だから戸締りとなると、どうしても骨折りの作業となる。

 一軒家に住んでいると、全部自分で門の開け閉めをするため常に鍵を5つも6つも持って歩くはめになる。もとはといえば全ては治安のせい。サンパウロではざっと近所の一軒家を見て回ってもベランダ、窓、トイレといたるところに鉄格子が張られ、防犯対策がなされている。その光景は外敵から住民の身を守っているようにも見えるし、中にいる人を外に逃がさないために閉じ込めているようにも見えて滑稽でもある。この国に鍵が不必要になるときが訪れることを祈らずにはいられない。

 家の鍵に加え車の鍵、スポーツジムのロッカーの鍵なども持っている人はそれこそ常にポケットがジャラジャラと音を出している。雑居ビルの管理人並みに大量の鍵を身につけている自分がふと悲しくなったりする。ブラジルで鍵を無くしたらそれこそ大変だ、とはいいつつも、無くさないようにことあるごとに気にかけている自分もまた情けない。一度鍵を無くす失態をやらかしたのか、それとも無くさないようにと気にかけてばかりいる自分に嫌気が差したのか、首に鍵をぶら下げてTシャツの中に入れているブラジル人の大人を見たことがある。ふと、同じことをやっていた小学校のときの自分を思い出した。

家の正門 家の中門
ベランダに鉄格子は当たり前 トイレにももちろん鉄格子