ホームは毎日きれいに清掃してある
 サンパウロ市の重要な交通手段、地下鉄(メトロ)。「サンパウロの地下鉄」と聞くと、どうしても壁にはスプレーの落書きがあって、ホームではパンクの格好をした若者がたむろしていると想像してしまいがちだが、実際は駅内にはゴミひとつ落ちておらず清潔そのもの。

  安全面でも監視カメラがそこら中に設置されており、ホームの床に「よいしょ」と腰掛けようものなら、たちまち「そこに座らないでください!」とアナウンスで叱られてしまうほどの監視体制が整っている。清掃員がちゃんと掃除しているので車内にも清潔感が溢れ、ときおり警備員が乗り込んできてはパトロールしてくれているおかげでかなり安心して利用できる。

 日本とは違って特急や急行がなく全てが各駅停車といういたってシンプルな構造が勝手の分からない異邦人に優しい。間違った電車に乗っても反対側のホームの電車に乗ればすぐにまた元の駅に戻ることができるので本格的に迷うことはまずないだろう。路線は市の東西南北に伸びており、だいたいのところにはこれで行ける。駅によってはCPTMと呼ばれる市電につながっている駅もあり、そこから郊外に行くことも可能だ。

 きれいで安全なサンパウロの地下鉄にあえて文句を付けるとすれば冷房がないこと。夏のラッシュアワーともなればぎゅうぎゅう詰めになる車内はサウナのように暑くなる。扇風機はあるが慰め程度にしかならない。窓から入ってくる空気は生暖かく、乗客全員が汗をかきながら我慢しているような状態だ。最近ではテレビのモニターが付いている新車両が登場したが、ブラジル人からしたら冷房よりテレビの方が優先順位が上だということだろうか。

外観はとってもシンプル でもときには車体がそのまま広告になることも

 サンパウロの地下鉄内では日本のルールは全く通用しない。例えば「降りる人優先ですよ」というルール。ここでは降りる人より先に乗ろうとする人が大勢いて、そのせいで自分の駅で降りられなかったという人や、乗ってくる人とぶつかって頭にきたという人が当然出てくる。
  また、エスカレーターに乗る際には日本なら右側、あるいは左側を空けておくのがマナーとなっているけれど、ブラジルではそんなことは全くお構いなし。急いでいる人は人の列を文字通りかいくぐって進んでいくしかない。しかしその一方で車内ではお年寄りや妊婦、子供連れなどに席を譲ることが暗黙の了解になっている。これに関してはブラジル人は日本人よりも徹底してやっている。優先席もあるが、普通席に座っている人でもお年寄りを見かけたらすぐに席を譲るのが決まりのようだ。

車内もいたってシンプル 駅の数はこんなにある 急ぐ人は階段を使おう