すっかり近代化が進んだ映画館
 数年前と比べると、ブラジルの映画館も設備や内装の面でかなり進歩してきた。サンパウロ市でいうと、ちょっと前まではカビ臭い壊れた椅子、音が割れる音響機器、家のテレビをちょっと大きくしたほどの小さなスクリーン、という三大不良を抱えるところも普通にあったが、今ではほとんどのところが改装され、日本の映画館よりも豪華な作りになっているところも珍しくない。一つの映画館にスクリーンが10以上もある大型施設もあるほどだ。

 その一方で値段のほうもかなり高めに設定されている。子供と学生は6レアル、大人は12レアルというのが平日のだいたいの相場。為替レート(1レアル=約60円[07年12月])で考えれば大したことのないように聞こえるけれど、こちらで生活している人間の感覚としては大人料金12レアルというと1200円ぐらい払っているような気分にさせられる。もはやブラジルにおける映画鑑賞は贅沢な遊びといえるだろう。

  ブラジルの映画館の欠点はお喋りOK、携帯OK、なんでもOKということ。もちろん表向きには本編が始まる前に「お喋りはしないでください」、「携帯電話の電源は切ってください」という注意映像がスクリーンに映し出される。しかしこれらを守っている人はごくわずかで、すごい人になると携帯電話で「今ねえ、ちょうど主人公が死んだところ」などと内容について友達とリアルタイムに話し合っていたりするから驚きだ。また、上映時間に遅れて来る人も結構いる。国民性というのはこんなときにもはっきりと現れるもので、すでに席に着いている人の邪魔にならないように頭を下げて低い姿勢で前を通るなんてことはブラジル人は決してしない。ずうずうしいのになると、席に座っている全員に対して「みなさん、私たち3人で来ているので一つずつ席をずれてください」なんてことを平気で言ってくる。早く来た人間が遅れて来た人間に席を譲る理不尽さといったらない。

 もちろんちゃんとマナーを守っている人もいるのでご心配なく。あくまでこれはマナーのいい人対悪い人の割合の問題なので、マナーのいい人がたくさんいる映画館を選べばいいのだ。選び方のコツはなんといっても映画館のある地区。若者、特にティーンネイジャーがたむろする地区に位置する映画館はまずマナーの悪い人が多いと思って間違いない。逆に年配の人が散歩に行くような地区にあるミニシアター系の映画館は割りと品があるので、静けさを求める人には第三年代の人たちに囲まれて鑑賞することをオススメする。

新作映画が目白押し