ボリューム満点の食事
 bar(バル)、lanchonete(ランショネッチ)、boteco(ボテコ)など様々な呼び名で知られるブラジルの大衆居酒屋。だいたいどこもカウンター席とテーブル席が数席あるだけのこじんまりとした作りでできていて、出入り口に扉のない誰でも気軽に入れるオープンな雰囲気が特徴だ。現地の日本人の間ではbarというのをわざと伸ばして「バール」と発音するのが一般的のようだが、ここでは日本の人にも分かりやすいようにあえてバーと呼んで紹介したい。

 ブラジルではどこに行っても無数のバーがある。どれも一見似たような内装を保ちつつ、カウンターの形、従業員の制服、料理の味とところどころに細かい個性が見られる。値段は基本的に普通のレストランに比べると安めに設定してあるが、店によってはまちまちで激安の店もあれば、結構いい値段を取るところもある。朝はかなり早い時間から開いており、夜は深夜まで営業しているところも少なくない。飲み物はコーヒー各種(エスプレッソ、カフェオレなど)に始まり、ビール、ワイン、カイピリーニャ、ジュース、炭酸飲料と多種多様。食べ物も軽食からボリューム満点の昼食や夕食が口にできる。

  ブラジル人は目覚めの一杯のコーヒーを飲むために行きつけのバーを利用する。コーヒーと一緒にパンをかじってから学校や勤務先に行く人なんかもよく見かける。昼時には近くで働く労働者が空いたお腹を満たそうとどどっと集まってくる。平日なのに昼間からビールを飲んでいる中年のおじさんもいる。コーラ片手に大声でお喋りに花を咲かせるおばさんたちの姿もちらほら。とにかくいつ行ってもそれぞれの目的に応じた憩いの場になっているのがブラジルのバーのいいところだ。

 TVを置いていることが多くサッカーの観戦場所としても愛用される。試合がある日にはホテルや自宅の部屋で独り寂しく見るより、近くのバーにいってビールでも飲みながらそこにいるみんなと見るほうが断然面白い。W杯のときにはそれこそ大勢の客が詰め掛けるのでちょっとしたスタジアム気分を味わえるだろう。

 また、テレフォンカードやタバコの販売店の役割も果たしておりなにかと便利だ。タバコはあるけど火はないという人のために親切にライターまで貸してくれるところもある。人によっては道を尋ねるためだけに冷やかし程度に入店する人もいる。とにかく色々な人が出入りするので、思い思いに時間を過ごしている客とは別にバーで働いている人たちはいつも忙しそうだ。それでもニコニコしながら元気溌剌に接客している彼らを見ると「ああここはブラジルなんだなあ」ということを改めて実感する。

外からでも中の様子が伺えるので気軽に入れる カウンターで一人で飲むのも悪くない