地下鉄に次いで利用客が多いサンパウロの交通手段といえばバス。街中のあちこちを駆け巡るバスは速さでこそ地下鉄には劣るものの、市内全域を網羅している点、景色を楽しみながら移動できる点では地下鉄よりも優れている。

同じ市内を走るバスにもオレンジ、緑、赤、白、黄色など様々な色のものがある


車内には回転式の改札機がある
 ブラジルのバス(ここでは長距離バスではなくあくまでもローカルバスを指す)の特徴は乗組員が2人いること。一人は運転手、もう一人は「cobrador(コブラドール)」と呼ばれる運賃を集金する人だ。車内ではこの集金係に支払いを済ませると初めて回転式の改札機を通らせてくれる。はっきりいってバスの中に改札機があるのは邪魔でしょうがない。特に回転式の改札機はカバンのショルダー部分がひっかかったり、服が絡まったりと面倒くさいことが起こりやすい。体の大きな人や太った人は通りにくいという問題もある。日本のバスのような自動清算機をブラジルのバス会社も導入すればいいのだが、それはまだまだ先、もしくは人件費の安いこの国では永遠にないことかもしれない。
 降りるときはボタンを押して運転手に意思を伝えるのはブラジルでも同じ。日本との違いはバス停に名前がないこと、そして時刻表が存在しないこと。バスの来る来ないは神のみぞ知るといったところで、平日の天気のいい日なら割とすぐに来るけれど、雨に降られると道路が洪水になり運転速度が落ちるため全然来なくなる。週末も働いている運転手が少ないのか本数がぐっと減る。さらに最悪の場合はストライキになり、会社や学校に行けなくなったりする。残念ながら確実性では地下鉄やタクシーにはどうしても敵わない。それでも多くの人は他に手立てがなくバスに頼るしかないのが現状だ。

 バス停のデザインにも大雑把なブラジルらしさが出ている。棒を立てただけのバス停、看板型のバス停、屋根付きのバス停、プラットホーム風のバス停と、特に統一性もなく場所によって姿形を自由自在に変える。棒や看板型のものは汚れていたり、曲がっていたりしてバス停だと気づかないこともある。そんなときは複数の人が同じ方向を寂しげに見つめながら立っていたらそこがバス停だと思って間違いない。

これもバス停だし これも これもバス停
プラットホーム風のバス停は雨宿りにも利用できる