
この国では「あげないと悪い」
などという心配はいらない!
ブラジルではしかし欧米に比べるとあまりチップを徹底しておらず、庶民の意識はむしろ日本に近いといえなくもない。ブラジルに到着したその日にバーで食事をした際、カウンターにチップを置いていったら「小銭忘れてるぞ!」と店員に呼び止められた。チップだと伝えると、店員は「なんだそうだったのか」という顔をしていた。つまりその程度なのである。
ブラジルにおいてチップが珍しくないのは美容院、マッサージなどのサロン、ガソリンスタンド、車の修理屋、路上駐車の見張り役、荷物持ち、などでバーでは払う必要はない。ホテルやタクシーにも全く同じことが言える。ホテルではチップをもらうまで断固として部屋を出て行かないというようなイヤらしい従業員はおそらくいないだろう。タクシーは道もよく間違えるし、料金も十分高いので別に同情しなくていい。レストランでは会計の中にサービス料が10%含まれており、それがチップの代役を果たしている。ただし客にはこの代金の支払いを拒否する権利があるということを忘れずに覚えておこう。サービスがひどいレストランでは「お前らなんかに払いたくない!」と拒絶する人も少なからずいるのだ。
店によってはレジの前に箱や瓶を設けて寄付のような形でチップを集めているところもある。ずうずうしくなくて大変礼儀正しい集金方法である。そう、チップはあくまでも客の「気持ち」であって「義務」ではないのだ。これを義務にしてしまうと、たちまち従業員が「サービスしてやってるんだぞ」という横柄な態度に出てしまう。
大胆かつ無謀にも一言でまとめてしまうと、ブラジル人労働者はあまりチップを期待していない。もちろん中には「チップちょうだい」などとせがんでくる輩もいるだろう。しかし「ヤダ」と一喝すれば大抵はすんなり引っ込んでくれる。これに関してはブラジル人はかなり謙虚である。チップをもらって当然だと思っているアメリカ人とは大違いだ。
