
傘売りのプロたち
もしかしたらブラジルには雨の日に傘だけを売って生活しているその道のプロがごろごろいるのではないかと、ふと想像してみた。そんな人たちがいるとすれば、きっと彼らには、まだ10代後半の若い弟子がいて技術とセオリーに基づいて傘売りのノウハウを仕込んでいるのだろう。プロたちは長年の経験から天気予報などを一切あてにせずにいついつの何時に雨が降るということを完璧に把握しているに違いない。朝起きてまずやることといえば空を見上げることで、さすがにベテランともなれば一瞥しただけで全てを理解し「おい、今日は4時26分に仕事に出るからそれまでに全部用意しておけ!」と、弟子に忠告しておくのではないだろうか。万が一そんな世界があったらそれはそれでロマンと男気溢れる職人の世界である。
傘売りの実態がどうであれ彼らの早業を見るのはとても気持ちがいい。実際彼らが早く来てくれるおかげでたくさんの人が足止めを食わずに済む。そして早いサービスに出会うことなどほとんどないブラジルにおいてそれは大変貴重で評価されるべきサービスなのである。そう考えると、彼らが傘の販売におけるプロであるといっても一概に嘘ではないだろう。ただひとつご注意願いたいのは、彼らはあくまでも傘“売り”のプロであって傘“作り”のプロではない。彼らが売っている傘のほとんどは2、3回使っただけで壊れるひどい代物で残念ながらブラジルにはその道のプロはいないみたいだ。
