サンパウロの町を歩いているとやたらと金髪の女性が目につく。10代、20代の若い女性だけじゃなく中年も高齢者もブロンドの髪を周囲に見せびらかすように風になびかせて歩いている。といってもブラジル人の多くが金髪かというとそんなことはない。人口構成では黒人系が過半数を占めるこの国では白人はともかく、ブロンドの髪を持って生まれてくる人はかなりの少数派である。では、なぜこれだけ金髪ばかりが目につくかというと、それは若者から老人までみんながやたらめったら自分の髪を染めたり、脱色したりしているからなのだ。

あちこちで金髪女性を見かける

  ブラジル人男性はなぜか圧倒的に、金髪女に心を奪われ易い傾向がある。もちろん人それぞれに好みはあるけれど、大半の男はそうなのである。男がブロンドが好きだという事実があるから女がそれに応えて髪を染める。すると当然町には至る所にニセモノのブロンドがウヨウヨするという構図ができる。TVを見てもドラマやCMに出てくる人気タレントの多くは金髪、もしくは茶髪だ。ブラジルでは髪の毛の色が茶色だろうと黄色だろうと金色だろうと全部ひっくるめて「loira(ブロンドの女性)」と呼んだりする。つまるところそれっぽければなんでもいいのである。こうした金髪至上主義的美的感覚はおそらくハリウッド映画の影響ではなかろうか。または欧米に対するコンプレックスとも考えられる。いずれにしろブラジル人女性は、男性の注意をひくために大変分かり易い努力をしていて感心させられる。自分に似合っていようがなかろうがそんなことは問題ではない。「モテればなんでもいいのよ」といった潔さが感じられる。もしこの先いつか男の好みががらりと変わったら、そのとき彼女たちはどうするのかぜひ見てみたいものだ。町中の至るところにニセモノのアフロの女が出没し始めたら、それはそれで面白い。
 
ブラジルではこの人もこの人も“loira”と呼ばれたりする